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2008年6月の記事

2008-06-30

ライフ・クォリティー・ランキング

The Economist誌ネタが続いて恐縮ですが、同誌がよく引き合いに出す"Quality of Life"ランキングの2008年版が出ていたようです。Mercerという人事系コンサル会社のものです。

結果はいつもながら欧州の圧勝。
1 チューリッヒ
2 ウィーン/ジュネーブ
4 バンクーバー
5 オークランド
6 デュッセルドルフ
7 ミュンヘン
8 フランクフルト
9 ベルン
10 シドニー

35 東京
38 横浜
40 神戸

それぞれ強い産業があって雇用もあり、観光価値もそこそこで、かつ生活の質が高い、そういう街が上位に入ってますね。黒船は上位の半分は馴染みが深い都市なんですが、これは実感とも合ってます。


人口100万人が理想

一つだけ指摘しておきたいのは人口。チューリッヒは40万人、ウィーンはさすがに170万人とのことですが、ジュネーブは18万人、バンクーバーは60万人、オークランドは40万人。チューリッヒやオークランドは周辺人口を加えると100万人を超えるようですが、だいたい100万人辺りが理想の都市サイズの目安でしょう。「何でもあるけど、混みすぎない」という程よい規模。

これらの都市を退屈とする人も少なくないでしょう(実際Mercerは但書で「パリやNYが与えるような主観的なエキサイトメントはデータに入っていません」と言っています)。しかし、観光ならともかく住むとなると人口はキーですね。単純なスペースの問題と、渋滞やレストラン予約、それから家賃に物価に・・と人口は生活全般に広く響いてきますから。

このバックグラウンドは「地方分権」。元々中世都市の連合からできたスイスや強い王権が存在しなかったドイツでは、幸か不幸かパリやロンドンみたいな絶対王政バリバリ都市は生まれませんでしたから、首都でもない地方都市が金融やら重工業、政治やらで独自の強みを活かして発展してきたのがよいのでしょう。


東京?

では日本で今から同じことができるかと言うと、そうではないでしょう。せめて東京から地方へ資源が逆シフトするといいですね。愛知県みたい例がもっと出てくるといい。欧州都市は道州制議論の参考にもなるのでは?

それから、本社移転する会社や新幹線通勤する会社員なんかがもっと増えるとおもしろいんですが。NYはコネチカットやニュージャージー、ロンドンはカナリーウォーフ、みたいに郊外に副都心を作るスタイルで拡大(分散?)してます。東京は大きすぎるので・・日光や湘南あたりに本社移転ってどうでしょう?

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2008-06-21

日中印「アジア三国志」

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The Economistの元編集長ビル・エモットの著書で和訳が出ましたね。広告やインタビュー記事が日経などに出てました。(日本語版のタイトルや表紙がちょっと??なので、原著"Rivals"の表紙も貼付け〜)

「日中印」という三国のくくり方には強引さを感じないでもありませんが、たしかに1)アジアから大国が複数輩出されるのは初めてのこと、2)三国間のパワーゲームは過去の欧州に似てくる、3)欧州のようにブロック化すれば更に強大になりうる、という話はおもしろく、ひとつのフレームワークとしてアタマに入れておいて損はないのではないかと思います(米欧はもちろん、ロシアやブラジル、中東産油国も忘れちゃいけませんが)。

ちなみに、北朝鮮に尖閣諸島、チベットにミャンマーはこの「三国」の国境に位置する地雷なので、三国ならびに米欧の関わり方に注目。それから、欧州におけるECの役割を果たすかもしれない機関として、East Asia Summit (EAS)東アジアサミット)というのが頻出してます。うーん、知らんかった。ニュースも少ないですね。

株的にはブロック化がうまく行った方がいいかもしれません。行き過ぎは白人社会が許さないでしょう。しかし、トータルでアジアは相互補完して栄える。世界の資産運用の現場は完全に「汎アジア」化して、日本は完全にアジアに一部になる。すると、「世界における日本のウェイト」で書いたような「日本は世界の中では『誤差』だからグローバルポートフォリオの中では保有しない」というオーストラリア化は少なくとも避けることができます。ああ、さびしい。でもこれが日本の生きる道かもしれません。

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2008-06-15

通貨高競争へ

いやあ、第一三共のランバクシー買収にはしびれました。その戦略、このタイミング。庄田社長、ご立派です。


さて相場ですが、流れが変わってくるかもしれません。

先のバーナンキG8でのポールソンはじめ各国がドル高是認。ECBなどはインフレ・タカ派でずっと通してますが、これが各国に飛び火してくるイメージでしょうか。特にアメリカはサブプライムが最悪期を脱した(らしい)という認識と景気悪化は予想程ではない(らしい)という認識から、今後は利下げから利上げモードに戻る時期を探る段階です。 

利上げで景気の過熱感を抑えるという伝統的なインフレファイターというより、利上げで通貨を上げて原油や穀物の購買力を高めようという通貨高競争のように見えます。こうなると利上げをしても景気が崩れない金利の「上げしろ」が重要になってきますが、そうすると始まったばかりの円安はまだまだ続くのかもしれません。

一方、購買力UPだけでなく、コモディティーへのマネーフローの引き締めという役割も担うドルは、二重の意味で高くされる必然性があります。しかもユーロと違って最近まで叩き売られていただけに戻りのモメンタムは強いはず。これはドル高円安加速でしょうかね。


株の物色としては、原油関連や鉱業、商社など資源アップストリームものは多少利食って、ハイリスクながら、原燃料高で悩んでる自動車、鉄鋼、化学などに妙味が出てくるところかもしれません。黒船は5000円ちょっとのところでトヨタなど仕込んでみましたが、原油価格とインフレに関連する要人発言などにらみながら、この辺りの物色を増やしたいと思っています。国としては中国、インドのリスクを取るよりも円安期待で日本株の(相対的な)好調に賭けた方がよいと見ています。

ちなみに、利下げ終了から利上げに入る局面は、通常は金融株の絶好の買い場。この1−2ヶ月で3割ほど下げたアメリカの銀行/証券株や、サブプライムなど大してないのに売られた日本の銀行株などは大変そそられます。11月決算のGSなどの四半期決算発表が今週ありますが、サブプライム三羽がらすのCiti、UBS、Merrillの追加損失ニュース(彼らは12月決算)を待つのが筋でしょうかね。


注意!)7月にはアメリカの第2四半期のプロフィット・ウォーニング、次いで決算発表が始まります。売上、費用ともにサブプライムと資源高の有事ですから、上にも下にもサプライズが出やすいです。要注目!(=今は本気で相場を張るときじゃないという意味)

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2008-06-06

代表的亜細亜人

欧州の非英語圏にいると、こちらが分からないと思うからか、このような会話がよく耳に入ります。

子 「あ、中国人だー」(こちらを指差して)
母 「しっ、これ、ダメでしょっ」(なぜか後ろ暗そうに)

ホントによく指差されます。中国は話題なのです。でもやっぱり何故か一緒にはされたくない。だから、レストランで隣席だとかでかつアイコンタクトができると、「日本人だよ」と思わず切り返します。ときにはお母さんがオープンな人だと・・

子 「あ、中国人だー」(こちらを指差して)
黒船(思わず振り向く)
母 「アジアの方ですか?」(開き直って逆に話しかけてくる)
黒船「はい、日本人です」
母 「いろいろいるのよ。韓国人とか・・」(子供に教えようとするが、すでにネタ切れ)
黒船「タイ人、マレー人、フィリピン人、インド人・・」
母 「メキシコ人、アフリカ人・・」(ちがうぞー!)

ま、ともかく。カフェで隣の人たちが(こちらを横目で見つつ)中国についてヒソヒソ話をしていることなんて日常茶飯事。経済の話からチベット、オリンピック、異様なまでのマナーの悪さから、彼らは話題提供能力という意味では他のアジアの比較にならないわけです。上記のお母さんのように元々アジアを知らない人たちの中では、「アジア人=中国人」というのが西ヨーロッパですら固定観念になってきているのを感じます。

もうちょっと屈折した思いは今後に譲るとして、とりあえず日本人は地位が低下したわけではなくとも(たとえば日本のパスポートの信用力は健在)、マイナーになりつつあることは忘れずにいましょう。やはり目指す方向はイギリスやスイスか。


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2008-06-01

Jパワーの泥仕合

ここまでもつれてきた

Jパワーとは「電源開発」のことですが、要は東電や関電など地方電力のための限界供給者です。電力会社に電力を「買っていただく」立場の弱い会社ですね。ここが「モノ言う株主」ともつれにもつれているのは各種報道の通り

いよいよ筆頭株主のアクティビスト・TCI(The Children's Investment Fund)が、他のJパワーの大株主の株にまで手を出してきました。みずほや鹿島だそうですが、「あんな株主軽視の会社を放っておくことは、君ら自身も怠慢・株主軽視だぞ」というロジック。

さすがに欧米サイドからも「日本だって国策以外の業種なら株主提案が通ることも増えてきたよ」(←先週のアデランスの経営陣再任拒否のように!)という人も出てきています。特に今回のみずほや鹿島にまでの出資については、FTの有名コラムLexでは「これは無駄だろう」とのコメント(ご参考に最後に貼付)。


栄誉ある撤退を?

TCIと言えば、ドイツ証取によるロンドン証取買収阻止、ベアリングによるABNアムロ買収阻止、などで知られる相当にうるさ方のアクティビスト。すでにざっくり推定250億円ぐらいJパワーで損しているし、今更タダでは引き下がれないでしょう。

だから、Jパワーは少し譲歩をして(=増配や積極投資の見直しなど)、TCIに「栄誉ある撤退」をさせてあげたらいい(ありそうにない話ながら)。そしたら株、上がりますよ。そもそもTCIのクリス・ホーンだかジョン・ホーを知る人の話によると、06年の買い付け開始当初は多少安易に見ていたフシがあったとのこと。そりゃ、Jパワーとくれば04年の上場当初から海外進出等で無駄遣いすることを公言していたスキだらけの会社でしたから。

ただ、超粘着系のファンドだけに、振り上げた拳はそうそう下ろせない。そりゃ、「立場が弱い」のでMETIや財界との関係が命のJパワーをターゲットに選んだのはおそらく失敗。でもおそらく心意気は「ネバー・ギブアップ」ってところでしょう。大損してますし、よくも悪くも世界中から注目されていますから。彼らの最終投資家のためにも、もうちょっと粘ってみせることでしょう。


三方一両損

Jパワーとしては妥協する必要などはなから感じていないのかもしれませんが、そもそもこの会社が上場している意味があるのか疑問。GDPの伸びない国の限界電力供給業者がキャッシュフロー赤字の投資を多年度に渡って続けるのはよいのか(投資の2割は海外ですが、それはそれで疑問)。まあ、フリーキャッシュフローの悪化は特にTCIが大株主になってから顕著ですから、完全に株主無視。

さりとて現段階ではTCIに勝ち目はありませんから、他の株主が売っぱらってしまえばいいのだと思います。中途半端な経営を衝かれたツケで株価低迷。最後には「株価は安すぎる」ということでLBO、非上場化で着地、という流れでどうでしょう?

ただし、その過程でTCIの撤退などで、ますます「日本=株主軽視」という見方が世界中に知れ渡ります。最悪のメディア映り。METIと言えば北畑次官の「バカで浮気で無責任」発言も困りもの。金融サイドから見ればむしろ、世界の情勢を見てJパワーに態度を変えさせるぐらいしてくれてもよさそうなもの。こんなことだから、TCIやスティールみたいな変わり種しか入ってこないわけです(爆)。

結論は、三方一両損。Jパワーは株価下落(経営陣は構っちゃいないだろうけど)、TCIは大損拡大、そして日本は世界での評価を下げる(もう下がり切ったかもしれないけど)。

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A letter to TCI
Published: May 27 2008 09:41 | Last updated: May 27 2008 20:25

Dear Mr Hohn,

As investors, we have applauded your ability to take on corporate giants and deliver returns. We are, however, concerned about The Children’s Investment Fund’s activity in the public utilities space. Look at that tricky court case over CSX, the US railroad, and the continuing tussles with J-Power in Japan.

Let us be clear: as long-term investors, we never expected a quick return on the Japanese utility (though the small gains on the stake, bought over the course of 2005-06, are disappointing). We support plans to improve returns by upping debt and dividends and slashing cross-shareholdings. But may we humbly suggest that further efforts to force change on an unyielding management might prove as fruitless as the attempt to lift your stake to 20 per cent earlier this year? It was a safe bet that, in a world where French yoghurt and American ports are off limits, Tokyo might frustrate a big foreign holding in a company building a nuclear plant.

As you repeatedly remind J-Power, we are all in this to maximise returns. We are, however, a little unclear as to how your latest gambit, to take stakes in companies that have friendly stakes in J-Power, achieves this for us, your investors. Indeed, there is an eerie echo that TCI is replicating J-Power’s cross-shareholdings. These positions are unlikely to prompt a change of heart at the utility and they may well prove a drag on our funds. Mizuho Financial, Japan’s biggest subprime casualty, expects to earn much the same this year as it did in 2006. As for Kajima Corp – unfortunately, few of us had even heard of this $4bn construction company – earnings per share are expected to almost halve this year. We do at least trust these acquisitions were made before the March rebound in share prices, since when both stocks are up by over 45 per cent.

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